37条書面記載事項の必要性と宅建業法の重要ポイント

37条書面記載事項の必要性と宅建業法の重要ポイント

37条書面の記載事項について、宅建業法の観点から解説します。絶対的記載事項と相対的記載事項の違いや、交付のタイミング、作成者の責任など重要なポイントを押さえていきます。37条書面の記載事項について、どのような点に注意すべきでしょうか?

37条書面記載事項

37条書面の重要ポイント
📝
記載事項の種類

絶対的記載事項と相対的記載事項

⏱️
交付タイミング

契約成立後遅滞なく

🔍
35条書面との違い

契約内容の確認と記録

 

37条書面の絶対的記載事項と相対的記載事項

37条書面は、宅地建物取引業法第37条に基づいて作成される重要な書類です。この書面には、絶対的記載事項と相対的記載事項の2種類があります。

 

絶対的記載事項は、すべての取引において必ず記載しなければならない項目です。主な絶対的記載事項には以下のものがあります:

  • 当事者の氏名および住所
  • 物件を特定するために必要な事項
  • 代金・交換差金・借賃の額、支払時期・方法
  • 物件の引渡し時期
  • 移転登記の申請時期(売買・交換の場合のみ)

 

一方、相対的記載事項は、取引の内容によって記載が必要となる項目です。主な相対的記載事項には以下のものがあります:

  • 契約の解除に関する定め
  • 損害賠償額の予定または違約金に関する定め
  • 代金以外に授受される金銭に関する定め
  • 天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め

 

意外と知られていないのは、既存建物の売買の場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項も絶対的記載事項となることです。これは、平成30年4月の宅建業法改正により追加された項目で、インスペクション(建物状況調査)の結果を反映させる重要な記載事項です。

 

37条書面の記載事項に関する詳細な解説はこちらをご覧ください:

 

37条書面の交付タイミングと作成者の責任

37条書面は、契約成立後遅滞なく交付しなければなりません。ここで注意すべき点は、「遅滞なく」という表現です。これは即時ではなく、合理的な期間内に交付すればよいという意味です。

 

作成者の責任に関しては、複数の宅建業者が関与する場合、以下のようになります:

  • 作成:いずれかの宅建業者
  • 記名押印:すべての宅建業者の宅建士
  • 交付:いずれかの宅建業者
  • 責任:すべての宅建業者

 

意外なことに、37条書面の交付自体は宅建士でなくても構いません。ただし、書面には必ず宅建士の記名押印が必要です。

 

また、自ら当事者として契約を締結した場合(自ら売主・自ら買主の場合)でも、37条書面の交付義務があります。これは、宅建業者が一般消費者と同じ立場で取引を行う場合でも、プロとしての責任を果たす必要があるためです。

 

37条書面の交付に関する詳細な解説はこちらをご覧ください:

 

37条書面と35条書面の違いと関連性

37条書面(契約書)と35条書面(重要事項説明書)は、しばしば混同されますが、その目的と内容は異なります。

 

35条書面は、契約前に交付され、取引物件に関する重要な情報を説明するためのものです。一方、37条書面は契約成立後に交付され、契約内容を明確にし、後々のトラブルを防ぐためのものです。

 

主な違いは以下の通りです:

項目35条書面37条書面
交付タイミング契約前契約成立後
目的重要事項の説明契約内容の確認と記録
記載内容物件の状況、法令上の制限等契約条件、当事者の権利義務等

 

意外なことに、35条書面に記載された内容のうち、契約内容となるものは37条書面にも記載する必要があります。これは、重要事項説明で説明した内容が実際の契約にも反映されていることを確認するためです。

 

35条書面と37条書面の関係性についての詳細な解説はこちらをご覧ください:

 

37条書面記載事項の間違いやすいポイント

37条書面の作成において、特に注意が必要な点がいくつかあります。

  1. 建物の構造耐力上主要な部分等の状況
    既存建物の売買の場合、インスペクション結果を反映させる必要があります。この項目は平成30年の法改正で追加されたため、見落としがちです。
  2. 移転登記申請の時期
    賃貸借契約の場合は記載不要ですが、売買契約では必須です。契約の種類によって記載の要否が変わる点に注意が必要です。
  3. ローンの特約
    住宅ローンの利用を前提とした契約の場合、ローンが成立しない時の措置について記載が必要です。これは相対的記載事項ですが、重要な特約となります。
  4. 手付解除の特約
    手付解除に関する特約がある場合は必ず記載しなければなりません。特に、手付放棄による解除期限や手付倍返しによる解除期限が法定の期間と異なる場合は要注意です。
  5. 契約不適合責任の特約
    民法改正により瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更されました。この責任に関する特約がある場合は必ず記載する必要があります。

 

これらのポイントは、実務上も試験上も重要です。特に、インスペクションに関する記載や契約不適合責任に関する特約は、近年の法改正を反映した項目であるため、最新の情報を確認することが大切です。

 

37条書面の記載事項に関する注意点の詳細はこちらをご覧ください:

 

37条書面における宅建士の役割と記名押印

37条書面において、宅建士の役割は非常に重要です。宅建士は、37条書面の内容が適切であることを確認し、記名押印する責任があります。

 

宅建士の記名押印に関する主なポイントは以下の通りです:

  • 37条書面には必ず宅建士の記名押印が必要
  • 記名押印する宅建士は、35条書面(重要事項説明書)に記名押印した宅建士と同一である必要はない
  • 複数の宅建業者が関与する場合、すべての宅建業者の宅建士が記名押印する必要がある
  • 宅建士は、37条書面の内容が適切であることを確認する責任がある

 

意外なことに、37条書面の作成自体は宅建士でなくても構いません。しかし、その内容の適正さを確認し、記名押印するのは必ず宅建士でなければなりません。これは、取引の安全性を確保するための重要な役割です。

 

また、宅建士が37条書面に記名押印することで、その書面の内容に法的な信頼性が付与されます。そのため、宅建士には高度な専門知識と倫理観が求められます。

 

宅建士の記名押印に関する詳細な解説はこちらをご覧ください:

 

以上、37条書面記載事項の必要性と宅建業法の重要ポイントについて解説しました。37条書面は、不動産取引の安全性と透明性を確保するための重要な書類です。宅建資格取得を目指す方は、これらのポイントをしっかりと理解し、実務に活かせるよう学習を進めてください。




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