宅建業法 抜き行為の定義と影響

宅建業法 抜き行為の定義と影響

宅建業法における抜き行為の定義や影響について詳しく解説します。不動産取引の健全性を保つために、この行為がなぜ問題視されるのでしょうか?

宅建業法における抜き行為とは

宅建業法における抜き行為の概要
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定義

他の不動産業者との契約を無視して依頼者を誘引する行為

⚖️
法的位置づけ

宅建業法上の明確な規定はないが、業界のタブーとされる

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問題点

不動産取引の公正性を損ない、業者間のトラブルの原因となる

 

宅建業法における抜き行為は、不動産取引の公正性を脅かす行為として業界内で問題視されています。具体的には、ある不動産業者と依頼者(売主・買主・貸主・借主)との間で媒介契約や代理契約が結ばれているにもかかわらず、別の不動産業者がその依頼者を誘引して新たな契約を結ぶことを指します。

 

この行為は、不動産取引の健全性を損なうだけでなく、業者間のトラブルの原因ともなり得るため、業界内では厳しく戒められています。

宅建業法 抜き行為の具体例

抜き行為の具体例をいくつか挙げてみましょう:

  1. 専任媒介契約中の物件に対する横取り

    • A社と専任媒介契約を結んでいる売主に対し、B社が「より高額で売却できる」と持ちかけ、契約を切り替えさせる。

  2. 一般媒介契約中の顧客への直接アプローチ

    • 複数の不動産会社と一般媒介契約を結んでいる買主に対し、ある会社が「特別な物件がある」と誘い、他社を介さずに取引を進める。

  3. 内見後の顧客奪取

    • A社の案内で物件を内見した買主に対し、B社が「手数料を安くする」と持ちかけ、契約を自社に切り替えさせる。

 

これらの行為は、不動産取引の透明性を損ない、業者間の信頼関係を崩壊させる可能性があります。

抜き行為と媒介契約の種類

抜き行為の影響は、媒介契約の種類によって異なります。主な媒介契約の種類と抜き行為との関係を見てみましょう。

  1. 専属専任媒介契約

    • 最も拘束力が強く、契約期間中は他の業者への依頼や自己売却が禁止されています。
    • 抜き行為が行われた場合、契約違反となる可能性が最も高いです。

  2. 専任媒介契約

    • 他の業者への依頼は禁止されますが、自己売却は可能です。
    • 抜き行為が行われると、やはり契約違反となる可能性が高いです。

  3. 一般媒介契約

    • 複数の業者に依頼可能で、自己売却も自由です。
    • 抜き行為の影響は比較的小さいですが、業者間のモラルの問題となります。

 

媒介契約の種類によって抜き行為の法的影響が異なるため、不動産業者はこれらの違いを十分に理解し、適切に対応する必要があります。

宅建業法 抜き行為の法的位置づけ

抜き行為は、宅建業法上で明確に禁止されているわけではありません。しかし、以下の点で法的な問題が生じる可能性があります:

  1. 民法上の債権侵害

    • 先行する媒介契約を妨害したとして、民法上の不法行為責任を問われる可能性があります。

  2. 宅建業法上の信義誠実義務違反

    • 宅建業法第31条に定められた「信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない」という義務に反する可能性があります。

  3. レインズ(不動産流通標準情報システム)規定違反

    • レインズの利用規定では、元付業者の承諾なく売却依頼者へ直接連絡することを禁じています。

 

これらの法的リスクを考慮すると、抜き行為は避けるべき行為であると言えます。

 

不動産取引の公正性と透明性に関する詳細な情報は、国土交通省の「不動産業課」のページで確認できます。
国土交通省 不動産業課

抜き行為が不動産市場に与える影響

抜き行為は、単に個別の取引に影響を与えるだけでなく、不動産市場全体にも悪影響を及ぼす可能性があります:

  1. 業者間の信頼関係の崩壊

    • 抜き行為が横行すると、業者間の協力関係が損なわれ、情報共有が滞る可能性があります。

  2. 消費者の不信感の増大

    • 業者間のトラブルが表面化することで、不動産業界全体に対する消費者の信頼が低下する恐れがあります。

  3. 取引の非効率化

    • 抜き行為を警戒するあまり、業者間の情報交換が減少し、取引の効率が低下する可能性があります。

  4. 価格の歪み

    • 抜き行為を行う業者が増えると、適正な価格形成が阻害される恐れがあります。

 

これらの影響を考慮すると、抜き行為は業界全体の健全性を損なう行為であると言えます。

宅建業法 抜き行為の防止策と対応

抜き行為を防止し、適切に対応するためには、以下のような方策が考えられます:

  1. 明確な契約内容の説明

    • 依頼者に対し、媒介契約の内容や抜き行為の問題点を丁寧に説明します。

  2. 定期的な進捗報告

    • 依頼者との信頼関係を構築するため、取引の進捗状況を定期的に報告します。

  3. 業者間の倫理規定の強化

    • 不動産業界団体などで、抜き行為に関する倫理規定を設け、遵守を徹底します。

  4. レインズの活用

    • レインズを適切に利用し、物件情報の共有と取引の透明性を高めます。

  5. 法的対応の準備

    • 抜き行為が発生した場合に備え、弁護士などと相談し、法的対応の準備をしておきます。

 

これらの対策を講じることで、抜き行為のリスクを軽減し、健全な不動産取引の実現に寄与することができます。

 

不動産取引のトラブル防止に関する詳細な情報は、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会のページで確認できます。
全宅連 トラブル防止・解決のための情報

 

以上、宅建業法における抜き行為について詳しく解説しました。この行為は法律上明確に禁止されているわけではありませんが、不動産取引の公正性と透明性を損なう可能性があるため、業界全体で防止に努める必要があります。宅建資格取得を目指す方々は、これらの問題点を十分に理解し、将来の業務に活かしていくことが重要です。




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